AIに頼むだけで、アプリが作れる時代。でも、「作れた」と「公開していい」のあいだには、見落とすとお金が消える落とし穴がいくつもあります。こわい話に聞こえるかもしれません。でも、知ってさえいれば、ぜんぶ防げます。
専門知識はいりません。今日は、やりがちな失敗を4つと、公開前のチェックリストを用意しました。読み終わるころには、安心して世に出せるはずです。

01「動いた!」と「公開してOK」は、別の話
まず、大前提をひとつ。AIが書くのは「とりあえず動くコード」です。安全に公開するための備えは、こちらから頼まないと後回しにされがち。AIにとっては動かすことが最優先で、守ることは二の次になりやすいんです。
大げさな話ではありません。Veracodeという会社の2025年の調査では、人の目でチェックしていないAI生成コードの約45%に、よくある弱点(セキュリティ上の穴)が1つ以上見つかったと報告されています。「動くから大丈夫」は、通用しません。

02落とし穴①——APIキーの「置き忘れ」
APIキーは、外部のサービスを使うための「鍵」。たとえばAIの機能を使うと、この鍵をもとに「あなたの利用分」としてカウントされます。やっかいなのは、AIがこの鍵をコードのなかに直接書いてしまうことがある点です。
鍵入りのコードをそのままネットに公開したり、誰でも見られる場所に置いたりすると——自動で探し回るプログラムが、数分で見つけてしまいます。あとは、あなたの鍵で使い放題。気づいたときには身に覚えのない高額請求、なんてことも。実際、2025年には、AIで作られたあるサービスで、設定ミスから約150万件もの鍵と約35,000件のメールアドレスがネットに丸見えになる出来事が起きました。
03落とし穴②——データベースが「鍵の開いた金庫」
データベースは、利用者の情報をしまっておく「金庫」のようなもの。ここには「誰がアクセスできるか」の設定があります。この設定をミスすると、金庫の扉が開きっぱなしに。
そうなると、本来は本人しか見られないはずのデータを、誰でも読めて、消せて、書きかえられる状態になります。利用者のメールアドレスや個人情報が、まるごと外に流れてしまう。さっきの出来事も、まさにこのパターンでした。
04落とし穴③——クラウド料金が「青天井」
多くのサービスは、使った分だけ料金がかかる仕組みです。便利な反面、上限を決めておかないと青天井。アクセスが急に増えたり、バグで処理が無限にくり返されたり、いたずらで大量に呼び出されたりすると、料金はあっという間にふくらみます。
「寝て起きたら、数十万円の請求が来ていた」——そんな笑えない話も、実際に起きています。防ぐのは簡単。各サービスで、設定できる範囲の「上限」と「通知」を入れておくだけ。最初の5分が、未来の自分を救います。
05落とし穴④——あずかった個人情報
アプリに登録機能をつけると、利用者のメールアドレスや名前を「あずかる」ことになります。集めるのは簡単ですが、守るのは大変。漏れたときに責任を問われるのは、あなたです。
だからこそ、鉄則は「いらない情報は、集めない」。本当に必要なものだけにしぼれば、守る対象も、漏れたときのリスクも、ぐっと小さくなります。
06公開前の、安全チェックリスト
こわい話が続きましたが、対策はシンプルです。公開を考えはじめたら、次のリストを上から確認してみてください。これだけで、大事故のほとんどは防げます。

- 鍵(APIキー・パスワード)はコードに直接書かない。漏れたら、すぐ作り直す。
- 有料サービスは、必ず「上限」と「通知」を設定する。
- データベースは「本人だけ」に絞る(誰でもアクセスはNG)。
- 集める個人情報は、最小限に。要らない情報は持たない。
- 公開前にAIへ「セキュリティ上の穴は?」と点検させる+できれば分かる人に確認。
- いきなり全公開せず、少人数・限定から始める。
vibe codingは、最高に楽しいものです。アイデアが、その日のうちに形になる。ただ、世に出す瞬間だけは、シートベルトを締めるように、ひと手間かけてください。今日の数分が、あなたの財布と信用を、しっかり守ってくれます。